溺愛〜ラビリンス〜
「大丈夫だ。向こうの出迎えが工藤だっただけだ。」
「プッ」
と吹き出す爽を睨むと
「あぁ…」
全てを察し憐れみの様な視線を送る渉。
「相変わらずだな…」
無表情で呆れたように言う翔真。
「仕方ねぇだろ!」
俺はバン!とテーブルを叩き怒鳴る。
「分かった分かった…」
渉が呆れた顔をする。
「とりあえずご苦労様。チームとして一区切りついた。今後は柚ちゃんの護衛の強化、それから…柚ちゃんがいつから登校するか分からないけど、その時に向けての対策を決めなければならない。」
急に部屋の空気が重くなる。
「…当分は無理だ。」
翔真が渉の言葉を続ける。
「…そうだな…」
爽が呟くと翔真が凌に視線を向ける。
「凌…」
「何?」
「お前の親に頼んでくれ…」
翔真の言葉を凌はすぐ理解して聞き返す。
「来年のクラス編成の件?」
「あぁ…頼む。」
「…分かった。」
凌の親父さんは俺達の通う高校の校長、お袋さんは理事長をしている。