溺愛〜ラビリンス〜

教室内の事は俺達にどうにもならないから、ユズ姫の親友二人に頼む事にした。

それにうちのチームの下の奴が4人同じクラスにいるから、ソイツ等に教室内の警護をさせる。


まぁ…それでも不安はあるが残り少ない期間の事だ…何とかするしかない。
今後の事をある程度決めた所で凌が口を開いた。


「翔真…屋上で言っていた事本当なのか?」


「あぁ…」


翔真が一言だけ答える。

「何の話?」


屋上に居なかった爽が聞いてくる。


「ユズ姫と翔真が本当の兄妹じゃないって言ったんだ。」


俺が爽に小声で教えると

「えっ!」


驚き大きな声をあげる爽。


「みんなに言っておく…この事を柚は知らない。うちの親も俺も柚に言うか迷っている。言うとしても柚にとって良いタイミングでと思っている。だから…この事は柚には…」


「「「分かった…」」」


俺達はユズ姫に言わない事を約束した。


渉が口を挟む


「翔真…もう良いんじゃないか?お前の優しさは分かるけど、兄ってポジションからじゃなく男としてのポジションから柚ちゃん守ってやれよ…」


渉は長い付き合いで知っていてずっと見てきたから言えるんだろう…

そして翔真が一歩を踏み出したから言った言葉だと思う。


「渉…」


翔真が珍しく瞳を揺らし迷いや不安を映し出していた。




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