溺愛〜ラビリンス〜

「おい若が話しかけているのに返事位しろ!」


コイツは親父や俺に対して誰より忠誠を誓っているから、淳稀の態度が許せないんだろう…


「龍也いい…」


俺が制止すると、仕方なくと言った感じで怒りを鎮める龍也。


「悠斗は知ってたのか?」


低い声で話し始める淳稀…


「何の事だ?」


聞き返すと睨みつけながら俺に吐き捨てるように淳稀が叫んだ。


「キングと柚ちゃんが兄妹じゃないって事だよ!」


「ハッ?」


淳稀の言葉がすぐには理解できず、頭が真っ白になった。
俺の様子から知らなかったと察した淳稀は少し冷静になったようで、トーンダウンして呟く。


「…悠斗も知らなかったのか?」


淳稀の言葉に冗談ではないと分かる。


「嘘だろ…」


呆然となる俺に淳稀は視線を反らした。


「キング本人に聞いた…」


だから…翔真は昔から柚の事を女として見ていたのか?
俺を敵視していたのも兄でなくまるっきり男としてだったって事か…
まったく…最初っからそういうつもりだったのかよ…分かんねぇ男だ…





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