溺愛〜ラビリンス〜

三浦 柚姫side


頭がガンガンして重苦しい…ゆっくり目蓋を開けると見慣れた景色だった。
一瞬訳が分からずいると翔兄ぃが部屋に入ってきた。
私…翔兄ぃと帰って来たんだ…一気に頭が現実に戻り悲しみで一杯になる。


「イヤ…一人にして!来ないで!」


堪えられなくて私が叫ぶと、翔兄ぃは優しい声で話しかけてくる。


「柚…大丈夫だ…」


「イヤ!もうやなの!死んじゃいたい…遠くへ行けないなら…死にたい。」


泣きながら叫べば、翔兄ぃが私に近づきギュッと抱きしめた。


「柚?そんな事言うな…お前が死んだら俺はどうすれば良いんだ?」


私を抱きしめる腕が微かに震えている…


「翔兄ぃ…」


私が顔を上げて翔兄ぃを見ると、翔兄ぃの頬に涙が流れていた。翔兄ぃが泣くなんて…今まで泣いている所を見た事なかったのに…翔兄ぃの濡れた頬に手を伸ばしそっと触れた。


「翔兄ぃ?」


「柚…お前が死にたいなら俺も連れて逝け…俺はお前と一緒に居てお前を守る。だから一人で逝くな…」


翔兄ぃの弱々しい言葉に涙が溢れた。


「翔兄ぃ…ごめんなさい。ダメだよ…翔兄ぃは死んじゃダメ!」




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