溺愛〜ラビリンス〜
それから少しして翔兄ぃと渉くんが帰って来た。
「柚…起きてたのか?」
帰って来るなり聞いてくる翔兄ぃに爽くんが満面の笑みで答える。
「さっき二人でオムライス食べたんだ…美味かった!」
「チッ」
何故か翔兄ぃの舌打ちが聞こえた。
「翔兄ぃ?」
いきなり機嫌が悪くなった翔兄ぃにビックリしていると、渉くんが翔兄ぃを諫める。
「翔真、柚ちゃんがビックリしてるから止めろ。」
「翔兄ぃ…今日はこの後出かけるの?」
翔兄ぃの機嫌が良くないみたいだけど、私は思い切って聞いてみた。
「いや…もう出かけない。」
翔兄ぃは一言だけ返事をして黙ってしまう。まだ機嫌が悪いみたい…
「じゃあ一緒に居て良い?」
私が聞くと翔兄ぃは私の事をジッと見て次の瞬間、嬉しそうな顔になった。
「あぁ。」
あれ機嫌直った?何で? まぁ良いか…翔兄ぃが機嫌直してくれたなら…
胸を撫で下ろしながら一人そんな事を考えていた。
「クスクス…柚ちゃん居ると本当楽だね。」
渉くんが面白そうにこちらを見ながら言う。