溺愛〜ラビリンス〜
「…柚…分かった。でも…俺が相応しいと思う奴が居なかったら…ずっとお前が姫でいいな?」
「…うん。」
「翔兄ぃ…あつくんの事は…今はまだ会えないけど、時間をかけて気持ちの整理をする…すぐには今まで通りにできないけど…でも…翔兄ぃは何もしなくて大丈夫だから…私…いつも翔兄ぃに守られてばかりだけど、自分で頑張ってみる。いつまでも翔兄ぃに守られてばかりじゃダメでしょ?」
私の言葉に何故か寂しそうな顔をした翔兄ぃは、私をギュッと抱きしめた。
「翔兄ぃ…ごめんね?こんなダメな妹で…翔兄ぃに心配かけない様に頑張るから…」
私も翔兄ぃにギュッと抱きついた。
「柚は頑張らなくてもいい…今のままでいいんだぞ?」
翔兄ぃはいつもそう言ってくれるけど、やっぱり私はもっとしっかりしないといけないと思う。
「ありがとう…翔兄ぃ…」
私が翔兄ぃにそう言った時、ドアがノックされた。
「翔真、柚ちゃん開けるよ?」
渉くんの声がしてドアが開く音がした。ドアが開き渉くんが入って来る。
「渉くん…ごめんなさい。翔兄ぃに用でしょ?」
私が居ない方が良いだろうと思って立ち上がる。