溺愛〜ラビリンス〜


優しくて思いやりがあり人望もあつく、頼りがいのある淳稀くんは、昔から何かと私の事を気にかけてくれる。



私も淳稀くんの事は好きだからあつくんと呼んでいる。

白王子の事を「あつくん」と呼ぶのは、私だけなので周りの女子からは良くは思われない。
どうしたものかと悩んだ事もあったけど、あつくんの呼び名を変えても私の場合現状が何も変わらないと結論付け、開き直り小学校以来の呼び名は変えずに現在に至る。


「柚ちゃん教室へ急がないと遅刻するよ。行こう。」


私の右手をとり教室へと向かうあつくん。


廊下を進み、私たちのクラス1−Aまでもう少し…

右手はまだ繋いだまま…
このまま教室へ入るのはやだよ。目立ち過ぎる!


何とかあつくんに手を離してもらわないと大変な事になる!


あつくんに声をかけようとした時、背後から低い声が聞こえてきた。


「おい」


私とあつくんが振り向くと、そこには不機嫌全開の黒王子こと、坂本悠斗(さかもとゆうと)くんが、あつくんをにらみつけている。


にらみつけられたあつくんもにらみ返す。


あー、朝からやーめーてー!と心の中で叫ぶ。


なんで白、黒王子が朝からそろうのよ。めんどくさい事になるのはやだよー。





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