溺愛〜ラビリンス〜

柚の言葉にその場にいた全員が「やっぱり」と柚の天然ぶりに肩を落とす。


「柚ちゃん…翔真が隠し事して嫌だったんだよね?」


渉が確認する様に聞く。

「うん…でも…」


でも?…何だ?
柚は迷った様子で言葉を続けた。


「私が…わがままだった。翔兄ぃがもっと自分の事考えられる様にするのが妹の役目だと思うんだよね…私…迷惑かけてばかりだし……翔兄ぃ?大事に思ってくれてありがとう…さっきは怒ってゴメンね?」


「ハァ」


俺がため息をつくと凌が憐れみを込めた目で俺を見ながら肩を叩いた。


渉はそんな俺を気にせず更に柚に踏み込んで聞く。


「柚ちゃん、翔真が隠し事したり嘘ついても良いの?」


渉の質問に柚は一瞬息を止める。


「…余り気分良くないけど…私が我が儘をこれ以上言ったらいけないの!」


「柚ちゃん…この前も言ったけど、柚ちゃんの事で翔真が迷惑とか思う事はないし…我が儘なんて事ないから…そんな事言っちゃダメだよ?」


渉が言いきかせる様に言う。戸惑った様子の柚。


「でも…このままじゃ翔兄ぃに彼女もできないよ?」


柚…俺に彼女を作れってのか?柚の言葉にショックを受け、少し苛々した。




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