溺愛〜ラビリンス〜
「うーん…それは心配しなくて大丈夫かな?」
渉の言葉に柚の動きが止まる。そして俺を見つめて小さい声で聞いてくる。
「翔兄ぃ…彼女いるの?」
いきなりの柚の発言に全員が凍りつき動きが止まる。
「あのね…」
柚の発言に渉もさすがに焦ってしまい必死に説明する。
「いねぇよ!」
これ以上誤解されてたまるか!俺は我慢できず渉の言葉を遮り叫んだ。
「でも…渉くんが心配しなくて良いって言ったのは…」
柚は混乱した様子で言葉を言いかける。
「柚?とにかく俺に女はいない…分かったな?嘘じゃないから信用しろ?」
健人が小声で爽達に
「まるで浮気を疑われた夫のセリフだな…」
と言うのが聞こえた。
確かに何でこんな事言わなきゃなんねぇんだ?って思うが、今そんな事に構っちゃいられねぇんだよ!柚が変な誤解して姫を止めるとか、「彼女と一緒にいてあげて」とか言って俺から離れたらどうすんだよ?
何とか誤解を解かないと…まったく渉の奴…余計な事言いやがって…
「柚ちゃん、翔真にとって柚ちゃんだけが大事な存在なんだよ?だから…翔真に彼女作れとか言っちゃダメだよ?」