溺愛〜ラビリンス〜

「うーん…それは心配しなくて大丈夫かな?」


渉の言葉に柚の動きが止まる。そして俺を見つめて小さい声で聞いてくる。


「翔兄ぃ…彼女いるの?」


いきなりの柚の発言に全員が凍りつき動きが止まる。


「あのね…」


柚の発言に渉もさすがに焦ってしまい必死に説明する。


「いねぇよ!」


これ以上誤解されてたまるか!俺は我慢できず渉の言葉を遮り叫んだ。


「でも…渉くんが心配しなくて良いって言ったのは…」


柚は混乱した様子で言葉を言いかける。


「柚?とにかく俺に女はいない…分かったな?嘘じゃないから信用しろ?」


健人が小声で爽達に


「まるで浮気を疑われた夫のセリフだな…」


と言うのが聞こえた。

確かに何でこんな事言わなきゃなんねぇんだ?って思うが、今そんな事に構っちゃいられねぇんだよ!柚が変な誤解して姫を止めるとか、「彼女と一緒にいてあげて」とか言って俺から離れたらどうすんだよ?

何とか誤解を解かないと…まったく渉の奴…余計な事言いやがって…


「柚ちゃん、翔真にとって柚ちゃんだけが大事な存在なんだよ?だから…翔真に彼女作れとか言っちゃダメだよ?」




< 225 / 671 >

この作品をシェア

pagetop