溺愛〜ラビリンス〜
「渉くん…それじゃ翔兄ぃが…」
「良いんだ。後ね?翔真の話しを最後まで聞いてやって?大事な事を話したいんだって…」
柚の言葉を遮り、渉は柚に俺の話しを聞く様に言った。
「じゃあ、そういう事で…後は二人で話して?」
そう言って渉は凌達を連れ部屋を出て行ってしまった。
渉のせいで面倒くさい事になった…まったく……でもこうでもならなきゃ柚に話す踏ん切りがつかなかったな…
本当の事をどこまで言うか…柚の反応を考えると怖いが…でもいつかは越えなきゃなんねぇ壁だ…ここは渉の策に嵌まってみるか…
「柚…俺は…お前の事が好きだ。」
俺の言葉を聞いてもそれ程驚かず嬉しそうな顔をする柚に安堵する。
「翔兄ぃ?私も翔兄ぃの事好きだよ?」
だが俺の覚悟を決めた告白もガキの頃から言われてきた「翔兄ぃ好き!」というセリフで返された。
イヤ……柚の言っている好きと俺の好きは違うからな?俺は心の中で舌打ちをする。
「柚?俺は…男として女のお前を好きなんだ…」
「えっ?!」
俺が言い直した言葉の意味を理解した柚は、心底驚いた様で俺の目を見たまま固まってしまった。