溺愛〜ラビリンス〜
「柚?」
かなりショックを受けている様子の柚に心配になり声をかけるとハッと意識を現実に戻した柚は
「翔兄ぃ?それって…恋愛感情の好きなの?」
と確認してくる。
俺は真っ直ぐ柚を見つめ て頷いた。
「そうだ…」
「…だって…私達、兄妹だよ?」
戸惑いが更に膨らんだのだろう、だんだん柚の声が小さくなる。
「柚…あのな?俺達は…」
言って良いのか?柚を傷つけるんじゃないか不安になる…迷いが消えた訳じゃない。でもここまで話したんだ中途半端にするのは俺達の関係にとって良くない。
ごめん…柚…俺が支える。だから…真実を言えば傷つけるかもしれないけど…許してくれ。
「俺達は本当の兄妹じゃない。本当は…いとこなんだ…」
「えっ……嘘…」
目を見開きパニックになってしまった様子の柚は俺の表情を見て嘘でない事を悟り、涙を溜めてしまう。そんな柚を見て胸が痛む。
「柚…ごめん…」
「翔兄ぃ…冗談だよね?」
それでも信じたくない柚は、すがる様な目で俺に聞いてくる。俺は心を鬼にして口を開く。
「嘘じゃない。全部今言った事は本当だ…」