溺愛〜ラビリンス〜
「ッツ…」
柚の目から涙が溢れ落ちた。
「ウッ…ッツ…」
「柚…」
柚の肩に手を置こうとすると肩をビクッと震わせる。
「…一人になりたい…翔兄ぃ…ゴメンなさい。」
柚は部屋を飛び出して行った。やっぱり話すのは早かったか…
柚を追いかけるか迷い、少し一人にさせて落ち着かせようと思いとどまる。
「ハァ…」
ため息をついてソファに凭れかかる。俺は柚を待つ事にした。
1時間位して渉が部屋に入って来た。
「翔真?どうだった?」
心配そうに聞いてくる。
「あぁ…全部話した。やっぱり柚にはショックだったみたいだ…」
「柚ちゃんは?」
渉が何気なく言った言葉に固まる。
「下に居ないのか?」
俺が焦って聞くと
「見なかったけど…」
渉が訝しげに答える。
柚が部屋を飛び出してから既に小一時間たっている。
「チッ。柚が飛び出してかなり時間が経っている…探せ!」
渉に指示を出すと状況を理解して慌てて部屋を出て行った。俺もソファから立ち上がり部屋を出た。