溺愛〜ラビリンス〜

そして渉くんに促されて翔兄ぃの大事なものを話してくれた。


「柚…俺の大事なものは…昔から柚だけだ…」


翔兄ぃは私の目を見てハッキリと言った。


そんな私と翔兄ぃの会話を聞いていた渉くんが私に優しく色々アドバイスしてくれる。でもどうしても信じられない。


「柚ちゃん…この前も言ったけど、柚ちゃんの事で翔真が迷惑とか思う事はないし…我が儘なんて事ないから…そんな事言っちゃダメだよ?」


渉くんは私に言いきかせる様にそう言ってくる。でも…それじゃ翔兄ぃは私の面倒みるだけの人生じゃない…そんなのダメだよ…


「でも…このままじゃ翔兄ぃに彼女もできないよ?」


私がそう言うと渉くんは


「うーん…それは心配しなくて大丈夫かな?」


断定的な言い方をする。それって…私が知らなかっただけで彼女がいるの?私の胸の痛みはさっきのものとは比べものにならない位になって、無意識に口から言葉が出ていた。


「翔兄ぃ…彼女いるの?」


私がそう聞くとなぜか部屋の空気が変な感じになった気がする。みんな顔をひきつらせ誰も口を開かない。




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