溺愛〜ラビリンス〜

「あのね…」


沈黙を破って渉くんが説明しようとしてくれたけど…


「いねぇよ！」


翔兄ぃが凄い剣幕で否定した。あれ？さっきまで死んじゃうかもって位の胸の痛みが消えてる。信じていいのか分からないけど、翔兄ぃの口から否定の言葉を聞いてホッとした。


「でも…渉くんが心配しなくて良いって言ったのは…」


翔兄ぃが否定はしているけど、渉くんの言った事が訳が分からず疑問が口から出た。そんな私に翔兄ぃは優しい声で話しかける。


「柚？とにかく俺に女はいない…分かったな？嘘じゃないから信用しろ？」


本当に？私…今のまま翔兄ぃの傍にいて良いのかな？私のせいで翔兄ぃの彼女が悲しい思いをしているなんて事ないの？私が不安になっていると渉くんが話しかけてきた。


「柚ちゃん、翔真にとって柚ちゃんだけが大事な存在なんだよ？だから…翔真に彼女作れとか言っちゃダメだよ？」


私が納得できないでいると、渉くんは、翔兄ぃの話しを聞いてやってと言って、凌くん達を連れ部屋を出ていってしまった。


二人きりになるとシーンと静かになって、どうして良いか分からなくなっていると、翔兄ぃが話し始めた。


「柚…俺は…お前の事が好きだ。」