溺愛〜ラビリンス〜
驚いて言葉が出ない…翔兄ぃは私のお兄ちゃんじゃないの?お父さんも、お母さんも本当の両親じゃないの?私は本当の家族じゃないの?
涙が溢れてくる。翔兄ぃが私を見て辛そうな声で謝ってくる。
「柚…ごめん…」
その言葉から翔兄ぃの言った事が嘘や冗談じゃないって事が分かってしまう…
「翔兄ぃ…冗談だよね?」
それでも信じたくなくて悪足掻きのように翔兄ぃに聞く。
「嘘じゃない。全部今言った事は本当だ…」
翔兄ぃはそれでも私が欲しい返事はくれなくて視線をそらす。
「ッツ…」
私の目から涙が溢れ落ちた。泣きたくないけど涙が止まらない。
「ウッ…ッツ…」
泣き出してしまった私に慌てた翔兄ぃは
「柚…」
と私の名前を呼んで肩に手を置こうとした。でももうどうして良いか分からない私は
「…一人になりたい…翔兄ぃ…ゴメンなさい。」
と言って部屋を飛び出した。
階段を下り様とすると下に人が大勢いるのが分かった。今酷い顔をしていると思うから顔を見られたくない。引き返して2階の端にある非常口に向かった。