溺愛〜ラビリンス〜
倉庫から自宅までって結構距離あるんだよね…車で15分位かかる…歩くと…歩いた事ないかったけど多分…40分以上かかるはず…そんな事を考えながら走るのに疲れてトボトボ歩く。
10分位歩いて家に着いた。今自宅にいるのはお母さんだけ…
ドアを開け、家の中に入ってお母さんを探す。お母さんはリビングにいてお茶を飲んでいた。
「あら、柚姫どうしたの?ずっと翔真と家に帰って来なかったのに…急に帰って来るのね。帰るなら連絡くらいしなさい?」
いつも通りのお母さんは、私が帰って来た事に何も疑問を感じていない。
「…お母さん…あのね?」
私が話しかけると様子がおかしいと気づいたみたいで、それまでの明るいお母さんが心配そうに私を見た。
「どうしたの?」
「…私はこの家の本当の子じゃないの?」
お茶の入った湯呑みを倒してしまったお母さんは慌てて布巾でテーブルを拭いた。拭き終わったお母さんは私を見た。
「誰に聞いたの?」
その声はお母さんのいつもの声じゃなかった。
「翔兄ぃが…お母さん…私は…どうして…」
私が言いたい事が分かったのか、お母さんは覚悟を決めた様な表情で私を見つめ話し出す。