溺愛〜ラビリンス〜
「高瀬くんと私達の間で約束してたの…あなたが成人するまで会いに来ないって。幼いあなたが混乱するだけだからね?その代わりあなたは高瀬くんの籍のまま…但し、高瀬くんが再婚する場合は私達の籍に入れて二度と会わない。再婚せず成人したあなたに会いに来た時はあなたがそれから先どうするか決める…今でも高瀬くんは再婚せず頑張ってるわ。」
私のお父さんは再婚せずに私の事思ってくれている…
「毎年誕生日とクリスマスにプレゼントを送ってくるの…」
「えっ!?」
お母さんの言葉にビックリする。お父さんは私の事を忘れていなかったの?
「毎年あなたに渡してたプレゼント…高瀬くんが送ってきた物よ。」
「えっ!」
「あなたのお父さんはずっとあなたの事思ってきたの…それは事実よ。分かってあげて?」
お母さんは穏やかな表情で真実を話してくれた。
「お母さん…」
「本当はまだあなたに話すのは先のはずだったんだけど…翔真が言っちゃったんじゃしょうがないわね。でもね?あなたは私達の家族よ。可愛い娘だわ。それは変わらない。分かった?」
お母さんの言葉に頷いた。お母さんの気持ちも本当のお父さんの思いも話しを聞いて良く分かった。もうお母さん達が本当の両親じゃなかった事が悲しかった気持ちは消えていた。
「お母さん…私ずっとお母さんの子?」
確認する様に言うと、小さい頃から見てきた優しい笑顔のお母さんがいた。
「当たり前でしょ?バカね…」
「お母さんありがとう!私勝手に帰って来ちゃったから翔兄ぃに電話する。」
「あら早くしなさい。お父さんより心配症なんだから…今頃大変よ?」