溺愛〜ラビリンス〜

『…分かった。もう勝手に居なくなったりすんなよ？』


翔兄ぃは少し怒っている様な声だった。


「うん…ごめんね？翔兄ぃ…お母さんから本当の両親の事聞いて…私、捨てられた訳じゃないって分かった。それが分かっただけでも良かった。翔兄ぃの事も私なりに考えるから…少し時間ちょうだい？」


私の今の気持ちを率直に翔兄ぃに伝えた。


『フッ…分かった。柚…悪かったな？混乱させて…でもな俺も父さんや母さんもお前の事を大事な家族だと思ってる。それはずっと変わらない。分かったか？』


翔兄ぃの言葉に涙が溢れた。私もお母さんの話しを聞いてさっき同じ事を思ったから…



「うん…私も真実を知っても家族への気持ちは変わらないよ？」


涙声で必死に伝える。


『あぁ…』


翔兄ぃの声も震えている。


私はそのまま家で翔兄ぃの帰りを待つ事になった。