溺愛〜ラビリンス〜
「柚ちゃんは?」
俺の言葉に翔真が固まった。
「下に居ないのか?」
焦る翔真に嫌な予感がした。
「見なかったけど…」
「チッ。柚が飛び出してかなり時間が経っている…探せ!」
柚ちゃんが行方不明…参ったな。苛立たし気に指示を出す翔真に俺は慌てて
「分かった。」
と返事をして部屋を出た。
下で心配して俺を待っていた爽と健人に急いで指示を出す。
「柚ちゃんが消えた。かなり時間が経ってるみたいだ…探せ!取りあえず親衛隊は敷地内と周辺の調査、特攻隊は市街地を捜索を頼む。」
「「了解」」
二人は驚いた表情をしたがすぐに動き出した。特攻隊、親衛隊にそれぞれの隊長から指示を受け、小隊長以下全員が動き出した。倉庫内は一気に騒々しくなった。
俺と凌は階段を上がり翔真の待つ二階へ向かったが踊り場の辺りで凌が
「翔真?」
と言って奥の非常口の方を見た。そこには翔真が立っていた。
凌と二人翔真に近づく。
「ここから外に出たようだ…」
「えっ?」
声をあげた凌と二人ドアを見る。
「鍵開いていたのか?」