溺愛〜ラビリンス〜
凌が翔真言葉に頷き、裏門の状況を思い出すように言った。
「確認するぞ?」
翔真が階段を下り始め俺達も後に続く。非常階段を下り、下に着くと裏門に向かう。
普段出入りしている表と違い、裏門の周辺はひっそりしている。
チーム同士の抗争がある時など、警戒する状況の場合見張りを数人置くが今は警戒する様な非常事態じゃないから見張りを置いていなかった。凌が周辺をくまなく調べる。
翔真は門に近づき何か確認していた。
「アイツ…よじ登ったな…」
一人言の様に言う翔真の言葉に俺も近づき門扉を見てみると、最近誰かが付けた靴の跡があった。
「柚ちゃんかな?」
俺が呟くと翔真は
「アイツしかいねぇだろ?わざわざこんな所をよじ登る奴いねぇし…」
柚ちゃん…普段大人しいし運動苦手なのに…こんなお転婆な事本当にしたのか?
「まったく…お転婆な事して…怪我してないか?」
翔真も同じ事を思ったらしい…常に柚ちゃんを気づかい心配している翔真は柚ちゃんが怪我をしていないか心配でならないみたいだ。
「兎に角、裏門から敷地の外に出た事は確定だな?健人と爽に知らせておく。」
俺は携帯を取り出し、二人に電話して報告と指示をした。