溺愛〜ラビリンス〜

だいぶ時間が経った…市街地を探してる健人からも敷地外周辺を探してる爽からも見つけたと言う連絡はない。


翔真は部屋に戻ってから何回も柚ちゃんに電話してるけど、出ないから苛々している。

今翔真と俺と凌の3人で幹部室にいる。静まり返った部屋に着信音が響く。 翔真が慌てて携帯を取る。


翔真はワンコールで出た。


「柚!」


凄い勢いで電話に出るな…まったく…柚ちゃんは電話で謝っている様だ。翔真は話しを聞きながらホッとした表情になっていく。その表情から無事である事を確信して俺と凌もホッとした。


「家に帰ったのか?一人じゃないんだな?母さんいるのか?」


話しの様子だと家に帰った様だ…家にいるならもう心配する事はない。俺も凌も体の力が抜ける。良かった…


俺は翔真に声をかけた。


「翔真?柚ちゃんいたんだな?」


翔真は俺の方を見て一回頷いた。


「…分かった。もう勝手に居なくなったりすんなよ?」


翔真は柚ちゃんに優しい口調でお小言を言った。柚ちゃんを溺愛している翔真には、本気で怒る事はできないんだよな…




< 246 / 671 >

この作品をシェア

pagetop