溺愛〜ラビリンス〜
顔も柚ちゃんと話しているから段々柔らかい表情になっている。他の人間には見せない表情…柚ちゃんに対してだけの顔だ。
柚ちゃんが何を言ったのか急に翔真が笑った。
「フッ…分かった。柚?悪かったな?混乱させて…でもな?俺も父さんや母さんもお前の事を大事な家族だと思ってる。それはずっと変わらない。分かったか?」
翔真の言葉を聞いて柚ちゃんが何を言ったのか察しがついた。
そして柚ちゃんの言葉の後、翔真は嬉しそうな顔をしてから泣きそうな表情をした。
『あぁ…』
そう言った声は震えていて翔真の目が潤んでいるような気がした。
柚ちゃんにはそのまま家にいる様に言って翔真は電話を切った。
「翔真?」
身動きしない翔真に心配になった凌が声をかけた。ハッとした様子で俺達を見る。そして嬉しそうな、照れくさそうな表情をして口を開く。
「柚がみんなにごめんなさいって言ってた。」