溺愛〜ラビリンス〜
笑顔で答える柚を見て何となく分かった…そっか爽くんの明るさは役に立ってるんだね…今まで無駄な明るさだと思ってたけど、ちょっと爽さんの事見直した…
そんな事を思っていると爽さんが私の方を見て手を振りおいでおいでをしながら大きな声を上げる。
「リサっち早くおいで?」
爽さんの声に慌てて小走りで二人に近づく。
「ごめんなさい。」
遠くでは翔真さん達が女子に囲まれていてまだ騒がしい。それを横目にチラッと見ながら校舎の中に入った。
「柚?」
校舎に入ると、下駄箱の所で坂本悠斗が立っていた。きっと柚を待ってたんだろう。
「…ゆう、くん…」
明らかに戸惑っている柚…いきなりの黒王子の登場に柚は気持ちの準備ができてなかったみたいだ。
黒王子でこんな状態じゃ白王子に会って大丈夫?心配していると黒王子が口を開く。
「もう大丈夫なのか?」
その声はとても優しい口調だった。
「…うん。」
「そうか…お前が学校休んでいる間、お前んち行ったけどおばさんにいないって言われて会えなかった…」
黒王子の言葉に柚は眉を下げてすまなそうな表情をする。