溺愛〜ラビリンス〜
「ゆうくん…ごめんね?翔兄ぃと倉庫に泊まってたの…」
黒王子は柚の言葉を聞いても表情を変えず、既にその事を知っていた様子だった。
「あぁ…」
爽さんは普段なら自分が警護している時に余り黒王子を近づけないけど、やはり今日は特別な日の様だった。
四人で廊下を歩き教室に向かう。
私達の教室が近づいてくると柚の様子が少しおかしくなった。爽さんも黒王子も気づいているみたいだ。
「柚…大丈夫?」
私が声をかけると柚は引きつった表情を向ける。
「大丈夫…」
小さい声で返事をするけど、痛々しい感じで誰が見ても大丈夫ではなさそうだった。
「柚?無理するな…今日からじゃなくても良いんだ。駄目なら俺が一緒に帰るから…正直に言え?」
黒王子が珍しく優しい笑顔を浮かべ柚に言った。
「うん…」
不安気に返事をする柚に爽さんはいつになく真面目な表情をする。
「ユズユズ…同じクラスに6人チームの奴がいる。教室内の事は、ソイツ等から逐一俺達に報告がきてすぐに対応できる様にしている。勿論、ソイツ等はクラス内での警護も兼ねている。だから安心して良いよ?」