溺愛〜ラビリンス〜
「有希…私も…嬉しい!今日からよろしくね?」
首を傾げて微笑む柚も…やっぱりとっても可愛い…こんな二人に挟まれていると私の可愛くないのが目立って仕方ない。
「ハァ…」
私は大きなため息をついた。
「どうしたの?」
有希が心配そうに聞いてくる。いけない…柚達が可愛いのも私が可愛くないのも彼女達が悪い訳じゃないんだから…それに私は二人の事が大好きだ。
「何でもない。」
一言だけ答え、教室を見渡す。白王子がいない事にホッとする。良かった…会う事を回避できない事は分かっているけど、少しでも先伸ばしにしたい気持ちがある。私がそんな後ろ向きな考えでどうするんだ…と思うけど柚の苦しむ顔をできれば見たくない。
柚を見ると有希と一緒に自分の席に向かった。私も自分の席に向かい鞄を置くと柚の席に向かう。チラッと見ると廊下にはまだ黒王子がいた。
「柚?大丈夫そう?」
「うん」
私が問いかけると柚は笑顔で答える。
「そう…じゃ黒王子に言ってくるよ?」
私は廊下に向かい入口付近にいる黒王子に近づいた。