溺愛〜ラビリンス〜

倉庫に初めて来た柚ちゃんは落ち着かない様子で下の奴等や健人達幹部の視線にオドオドしていた。


「大丈夫だ。」


柚ちゃんに話しかける翔真は、いつもチームの奴等にかける声音とは明らかに違い、顔も穏やかな優しい表情で多分チームの人間は誰も見た事のない顔だろう。

健人達も翔真のそんな様子にに驚き、そして柚ちゃんを間近で見て固まり柚ちゃんの顔をガン見している。
クックッ、まぁそうだよね。分かるよ。初めて柚ちゃん見るとそうなるよね。でも翔真のお姫様だからそこは心得てくれよ。翔真を猛獣の様に暴れさせる訳にはいかないからね。



幹部室に入り各自定位置の席に座る。
柚ちゃんは翔真に手を引かれ、いつも翔真が座るソファーに一緒に座った。
大き目のソファーだけれど、二人だと密着度はかなりなので恥ずかしいのだろう柚ちゃんは、


「翔兄ぃ、私座らなくて大丈夫だから…」


と言いかけるとそれを遮るように翔真が


「柚が立つとみんな立たなきゃならなくなる。」


と説明した。





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