溺愛〜ラビリンス〜

「ッツ…」


柚は固まって動けず白王子に何も言う事もできずに俯いてしまった。


「柚!」


私は慌てて白王子と柚の間に割って入った。
少し離れた所にいた有希も異変に気づいて青ざめている。


「柚に近寄らないで!」


白王子を睨みつけて言うと白王子は落ち着いた素振りで答える。


「フッ…大丈夫だよ。乱暴したり、連れ去ったりしないから…」


そう言って私の背後にいる柚に話しかける。


「話しがしたいんだ。今すぐがダメなら、気持ちの整理がついて落ち着くのを待つよ?だから話しがしたい。頼む。」


そう言って白王子は頭を下げた。


「あつくん…」


背後で柚の戸惑った声が聞こえる。


「待つから…」


頭を上げた白王子の真剣な顔に柚も何か感じたようだ。


「分かった…時間をちょうだい…」


背後からバタバタとクラスの警護係が慌てて飛んで来た。
遅いよ!気を抜いてるんじゃないわよ!心の中で悪態をつく…まぁ私も人の事言えないけどさ…


「「「「「「姫!!」」」」」」




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