溺愛〜ラビリンス〜

「姫、大丈夫ですか?」


慌てて白王子の前に立ちはだかる警護くん達…


「大丈夫、だよ?」


戸惑いながら応える柚。
ホッとした表情をした警護くん達は白王子に向き直る。


「うちの姫に近づかないでもらおう。」


白王子を威嚇しているのは、確か里中くんだったっけ?結構頼りになるじゃない…


「…話しがしたかっただけだよ。」


白王子は口角をあげ警護くん達に余裕な声で言う。


「ふざけんな!お前、姫に何したか分かってんのか?」


結城くんが怒鳴った声が教室に響く。


「止めろ。教室だぞ?」


里中くんが制止する。


「どうしても姫と話しがしたいなら、うちの総長に許可を得てからにしてくれ。」


田原くんが低い声で近くの者にしか聞こえないように言った。


「…分かった。柚ちゃん驚かせてごめんね?」


白王子はそれだけ言うと教室を出て行った。静けさが戻ったその場にペタンと柚が座りこむ。


「姫!」


里中くんが慌てて柚に手を差し出す。


「大丈夫ですか?」


手を借りて立ち上がった柚は無理してニッコリ笑う。




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