溺愛〜ラビリンス〜
「私は…大した事できないけどいくらか柚ちゃんや亜莉沙ちゃんの役に立ったかな?」
有希が遠慮がちに言う。まったくこの子は…
「バカね?十分役に立ってるわよ。私も柚も頼りにしてるのよ?」
この子はおっとりしててか弱そうに見えるのに、私より実はしっかりしてるんだよね。
「アッ!大変…私もお迎えが来ちゃってる!急がないと!じゃ、亜莉沙ちゃんバイバイ。」
時計を見て慌てて有希も教室を飛び出して行った。
あの子も柚と同じ姫だものね…まったく…友達が二人も姫やってるって私くらいよね?
「ハァ…」
静まり返った教室に私のため息が響く。
まぁ…二人共、良い子だから守ってあげたいって思うし良いんだけど…
「私も帰ろう…」
鞄を取りに自分の席に戻る。