溺愛〜ラビリンス〜
坂本 悠斗 side
携帯の着信音が鳴り響き、表示を見ると翔真からだった。
アイツが俺に電話してくるなんて柚絡みしかない…何かあったのか?不安になりながら慌てて電話に出る。
「…はい」
「……柚の事で報告しておく…」
翔真はいきなり話し始めた。
「ッツ…柚に何かあったのか?」
「大丈夫だ…柚は精神的に落ち着いてきてかなり元気になった。…それでな?柚がそろそろ学校に行きたいって言い出した。」
柚が登校する…柚に会えるのは嬉しい…でも柚は大丈夫なのか?柚にずっと会っていない俺は柚の今の状態が良く分からず戸惑う。心なしか話す翔真の声も不安気に聞こえる。
「ッツ、大丈夫なのか?」
俺は思わずそう聞いてしまった。
「…あぁ俺も迷ったが、柚が前向きになっているのをダメだと言う事もできないしな?渉とも相談して来週月曜から登校させる事にした。」
「…そうか。俺はクラスが違うから常に柚を守る事ができない…警護は大丈夫なんだろうな?」
恐らく翔真の事だから抜かりはないと思うが、柚の事になるとどこまでも心配は尽きない。
翔真もそんな気持ちが分かるんだろう、気を悪くする事もない。