溺愛〜ラビリンス〜

「あぁ…渉に指示を出させたから大丈夫だ。万全の体制で登校させる。お前にはその事を報告しとかないとと思ってな…それだけだ。」


翔真は俺との約束を守って知らせてくれた。お互いに柚を譲れないという思いを除けば、俺達程お互いの気持ちが分かる存在はいない。翔真も俺の気持ちを理解しているからこそ約束を守ってくれた。翔真に素直に感謝した。


「そうか…わざわざ悪かったな?」


「あぁ…じゃあな?」


「あぁ…」


翔真との電話を切り、柚が元気になった事にホッとして笑みが溢れる。

柚…元気になって良かった。月曜に会えるな?柚に会える事の喜びに携帯を握りしめていた。





待ちに待った月曜…
いつもより早く起き、登校しようとする俺に龍也が声をかける。


「悠斗…どうした何があるんだ?」


「…何でもない。」


「嘘を言うな?」


誤魔化そうとすると、詰め寄られた。コイツをごまかすのは無理だな…ガキの頃からの長い付き合いもあるし、何と言っても人のちょっとした変化を敏感に察知する奴だ… 仕方なく俺は正直に話す。




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