溺愛〜ラビリンス〜
「…柚が今日から学校に来る。」
俺がそう言うと、龍也は目を見開き驚いた顔をした。そして嬉しそうな表情をしてから口を開く。
「そうか…良かったな?」
「それで早く柚ちゃんに会いたくてこんな早い時間に登校しようとしたのか?」
案の定、龍也に見透かされていた。
「翔真からは警護は大丈夫だと言われたが、心配だから早めに行って警護の状況を確認しようと思っただけだ…」
取ってつけたような言い訳した。龍也はニヤリと厭らしい笑みを浮かべると惚けた様子で俺をからかってくる。
「ふーん…警護ねぇ…それなら俺達にも早く話してくれれば、こっちでも警備体制敷いたのに…」
俺がぐうの音も出ないように言ってクックックッと笑う。
「チッ!」
「フッ…怒るなよ。悪かった。」
俺が睨みつけると、さすがにまずいと思ったのか龍也は笑いながら謝る。
「じゃあ行こう。柚ちゃんを万全の体制で迎えたいんだろう?車は呼んだのか?」
「あぁ、さっき森に電話した…そろそろ来る頃だ。」
そう言って部屋を出て龍也とエレベーターに乗り下に行くと既に車は到着していた。