溺愛〜ラビリンス〜
鈴原 健人 side
放課後になりユズ姫を教室に迎えに行った。ユズ姫と同じクラスの奴等からの何回か電話での報告から、何事もなく過ごしているみたいで翔真もホッとしていた。俺も安心してユズ姫の教室に向かった。
「ユズ姫。迎え来たよ?」
教室の入口で声をかけると
「健人くん準備できてるよ?」
ユズ姫がこちらに向かって来る。後から亜莉沙ちゃんが着いて来て挨拶してきた。
「亜莉沙ちゃんご苦労様…ありがとう。」
亜莉沙ちゃんに声をかけ、ユズ姫に視線を向ける。
「ユズ姫?今日は何もなかった?」
何となく聞いたその言葉に、途端にその場の空気が変わる。俺はただならぬ雰囲気に警護の奴等を見る。
何があったんだ?と視線で問えば里中が軽く首を振った。ユズ姫の前では止めた方が良いか…この場で聞くのを諦めた。
「ユズ姫、翔真が心配して待ってるから行こう?お前等も来い。」
俺はユズ姫と下の奴等に言って、亜莉沙ちゃん達に向かって言葉をかける。
「二人共、ありがとう。じゃあね?」
ユズ姫も親友二人に挨拶をして教室を出た。廊下を歩きながらそれとなく探りを入れる会話をした。