溺愛〜ラビリンス〜
「そうだな…柚ちゃんにどうするか聞いた方が良いか…」
「あぁ…それを聞くのも少し待ってやりたいんだが…」
翔真が顔を歪めた。まだユズ姫に白王子の事を聞くのは酷だろう。ユズ姫の事を大事に思っている翔真にしてみたら例え時間が経っても聞くのは辛いと思う。
「翔真…」
苦し気な翔真に何て声をかけて良いのか分からず名前を呼ぶ。
「大丈夫だ。」
翔真はいつもの表情に戻って返事をした。
「渉、もしアイツと話しさせるにしてもすぐにはさせない。俺が柚を大丈夫だと判断してからだ。準備はそれからで良い。頼むな?」
「…分かった。」
「みんなも今日はご苦労だった。何とか柚を登校させられた。色々あったが、俺としては鷹宮の事も想定していた事だ。今回の程度の事で動じていたら柚を登校させられない。警護の奴等には気にするなと伝えておけ。…但し油断はするな。これが柚を拐う様な危害を加える事だったら、これで済まされないって事を胆に命じろ。」
「分かった…アイツ等にも伝えておく。」
爽が翔真に答える。みんなも頷いていた。