溺愛〜ラビリンス〜

そのまま話しかける事も近づく事もできず午前が過ぎた。
悠斗は休み時間のたびにうちのクラスに来て柚ちゃんの様子を見ていた。



昼休みになり、親衛隊長が柚ちゃんを迎えに来た。


「ユズユズ!迎えに来たよー!」


どうやらキングの所に連れて行くようだ。
以前も昼はキングがいつも柚ちゃんをかっさらって行った。

有希ちゃんや亜莉沙ちゃんと一緒に教室を出て行く柚ちゃんの背中を見送った。






ただ遠くから見ている事しかできず一日が過ぎた。

HRが終わり、僕はやはり我慢できず柚ちゃんの所に向かった。


「柚ちゃん…」


ドキドキしながら声をかけた。


「ッツ…」


柚ちゃんは固まって動けないでいる。


「柚!」


亜莉沙ちゃんが慌てて僕との間に割って入った。


「柚に近寄らないで!」


敵意剥き出しで僕を睨みつける亜莉沙ちゃん。仕方がないよな……と思いながら亜莉沙ちゃん見る。


「フッ…大丈夫だよ。乱暴したり、連れ去ったりしないから…」


僕は亜莉沙ちゃんにそれだけ言うと柚ちゃんに話しかける。




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