溺愛〜ラビリンス〜
「話しがしたいんだ。今すぐがダメなら、気持ちの整理がついて落ち着くのを待つよ?だから話しがしたい。頼む。」
僕が頭を下げると柚ちゃんが息を飲んだのが気配で分かった。
「あつくん…」
柚ちゃんの戸惑った声が頭上から聞こえる。
「待つから…」
頭を上げて柚ちゃんを真っ直ぐに見て言った。
視線が合うと柚ちゃんはオドオドしたけど、意を決したように口を開いた。
「分かった…時間をちょうだい…」
「姫、大丈夫ですか?」
僕の前にブラックホークスの奴等が立ちはだかった。
「どうしても姫と話しがしたいなら、うちの総長に許可を得てからにしてくれ。」
どこまでもキングが立ちはだかるんだな…忌々しくキングの顔が浮かぶ。
「…分かった。柚ちゃん?驚かせてごめんね?」
僕は気持ちをグッと押さえ努めて優しい声色でそれだけ言うと教室を出た。
廊下に出て玄関近くまで来た時、特効隊長とすれ違った。一瞬目を見開き次の瞬間、僕の事を睨んで通りすぎた。
「白王子、帰るんですか?」
「鷹宮くんさようなら。」