溺愛〜ラビリンス〜

僕の問いかけに無反応のキングに、少し苛々しながら用件を切り出す。


「時間がかかるのは分かってる。すぐじゃなくて良いから、柚ちゃんときちんと向き合って話しがしたい…。今日、柚ちゃんと話しをするなら、キングに話しを通すように言われたから電話しました。」


『…』


「柚ちゃんの気持ちが落ちついてからで良いから話しをさせて下さい！」


『言う事はそれだけか？』


それまで黙っていたキングが口を開いた。その声は電話越しに冷たく響いた。まるで柚ちゃんを傷つけた事を責めているようで、実際僕の事を絶対に許すつもりはないのだろう。それでも柚ちゃんとの接点を求める僕は、キングに今の思いを伝えて柚ちゃんとの事を許可してもらうしかない。


「分かってる。僕が悪いって。柚ちゃんには許してもらえるまで謝ります。だから話しをするチャンスが欲しいんだ。」


『柚が…許さないって言ったらどうするんだ？もう傍にいるのが嫌だって言われたら？』


キングの言葉に何て返事をすればいいか分からない。


「ッツ…」


『お前がまた柚を拐ったり、乱暴したりしないって保障がどこにある？』