溺愛〜ラビリンス〜
慌てて車の方を見ると、渉が頬をヒクヒクさせて睨んでいる。
俺は恐ろしさの余り視線を逸らす。また健人のせいでとばっちりだ。コイツに関わるとロクな事がない…
「フン!」
健人を睨んでそっぽを向いていると翔真の声が響く。
「出るぞ!いつまでも揉めてるなら置いて行く。凌、行くぞ?」
翔真の言葉に俺も健人もサァっと顔を青くする。
「翔真もう揉めてないから!」
?「そ、そうそう…さあ出発しよう!」
健人と俺は慌ててそれぞれに翔真に言い訳して、さっさとバイクに跨がった。
「最初からさっさとしろよ二人共…ったく。」
凌もそう言いながらバイクのエンジンをかけた。
今日は俺等幹部の他には親衛隊、特攻隊の小隊長達が行く事になっている。それと親衛隊から選りすぐって特別警護チームを作った。
ユズユズと同じクラスの警護の奴等も特別警護チームに入れた。
これは小田からの提案で、外出するこの機会に小隊長自ら、ユズユズのクラス内の警護を完璧に出来るように鍛えると息巻いていた。
小田達も流石に教室の中は警護ができず、アイツ等に任せる事が歯痒くて苛々しているんだろう。 翔真も小田の提案を許可した。