溺愛〜ラビリンス〜

ユズユズの言葉にみんなハッとなる。姫になってから、行動にもその範囲にも制限がされて、いつも警護されているユズユズは多分、たまにはここに行きたいとかこうしてみたいとかあるんだろうけど余り言わない。
いやきっとみんなに迷惑になるから我慢しているんだろうな…


迷惑をかけない範囲で行動したり我が儘?を言う。今まで気づかなかったけど、こんな事で喜ぶなんて思ってもみなかった。みんな同じ事を思ったようで複雑な表情をしている。


「ユズちゃん、じゃあ今度はもっと景色を楽しめるように少し遠い所にするよ?」


渉が顔を笑顔に戻して話しかけると、ユズユズは嬉しそうに返事をする。


「うん。」


「柚、行くぞ?」


翔真が声をかけるとユズユズは慌てる。


「翔兄ぃ待って!荷物がいっぱいあるんだから…」


ちょっと剥れて翔真に文句を言うユズユズ。そう言えばお弁当作ってくれたって言ってたな…


トランクを渉が開けると、大量の荷物が登場した。ユズユズ凄くねぇか…本当にそれ作ったの?俺は荷物の多さに驚いていると、ユズユズは得意そうに


「荷物多いからガラガラ持って来たからちょっと待ってね?」


と言って、トランクから荷物を運ぶ簡易型の台車を出して荷物を乗せた。





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