溺愛〜ラビリンス〜

じっとこちらを見ていた健人に


「もう来るよー」


と明るく言えばすべてを悟って


「ハァー」


とため息をついた。

そろそろチャイムが鳴る。俺はユズユズと白王子のクラス1-Aに向かった。



階段を下りきる前にチャイムが鳴った。

廊下を歩いていると廊下にいた女の子達が騒ぎ出した。

はいはい。君たちに用はないからね。今俺は忙しいの。邪魔しないでね。 と心の中で呟き廊下を進む。


1-Aの教室に着くと、


「鷹宮くんいるー?」


と聞きながら教室を見回すとユズユズは見当たらない。

近くにいた女の子が白王子に伝えてくれて、白王子が入り口まで来た。


「キングがお呼びだから来てくれる?」


一言言えば、分かっていたかの様に


「朝の件かな?あれは僕でなく悠斗のせいですよ。」


と王子スマイルで言う。
でもね俺には王子スマイルは効かないよ。残念だね。


「キングの呼び出しを断るつもり?」


さっきより低い声で言えば、全然気にする様子もなく平然と


「まさかお兄さんの呼び出しはいつでも受けますよ。」


受けてたった。面白いじゃん。半分面白いけど半分は怖いねぇと心の中で呟いた。


「じゃあ、行こっか?」


俺は白王子と屋上に向かった。





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