溺愛〜ラビリンス〜
「渉の言う通りだぞ?ユズユズ。翔真が機嫌悪いと大変なんだから…俺なんかどれだけ酷い目にあってるか…」
俺が泣きマネをして言うと渉が突っ込みを入れてくる。
「お前のは自業自得だろ!」
ひっでぇな…そんな話しをしていると高い音のベル音が鳴り響いた。
「柚ちゃん動き出すからしっかり掴まっててよ?絶対手放したり立ち上がろうとしたりしないでね?」
渉が心配なんだろう…最後の確認で注意をする。
「分かってるよ…大丈夫!」
ユズユズは笑顔で返事をした。
そして乗り物がゆっくりと動き出した。
「キャー!」
ユズユズが悲鳴をあげた。
「柚!」
翔真が真っ青な顔色でオロオロしながら叫んだ。
「柚ちゃん!」
「ユズユズ!」
俺達もユズユズが心配で名前を呼ぶ。
「アハハ楽しい!」
はっ?怖いんじゃないのか?
「柚ちゃん?大丈夫かな?」
渉が恐る恐る聞く。
「ぜーんぜん大丈夫だよ!楽しいね?」
ニッコリ笑ってご機嫌なユズユズに俺達は脱力する。