溺愛〜ラビリンス〜
隣で爽が腹を抱えて笑っている。健人は一応笑っちゃまずいと思っているのか、笑うのを必死で堪えながら笑う爽を睨んでいた。
渉はニヤニヤしながら翔真とユズ姫のやり取りを見ている。
「翔兄ィ?バイクの代わりにベルトのある乗り物は良いよね?」
ユズ姫は的のズレた持論を得意げにかざした。変な交渉条件をかざされたけど、翔真は頷かない訳にいかず、ジェットコースターを許可する事になった。
元気一杯のユズ姫に俺達全員がため息をついた。
「ジェットコースター乗る人?」
明るい声で俺達に聞いてくるユズ姫に一番最初に名乗りを挙げたのは…
「乗る…」
翔真だった…
「翔兄ィ乗るの?」
ユズ姫が嬉しそうに聞く。俺達は…ジェットコースターに乗ると言う翔真に驚いて、次に翔真のジェットコースターに乗った姿を想像して、その場の空気が何だか変な空気になっていた。
下の奴等は総長がジェットコースターに乗ると言ったのが信じられないんだろう、目を見開き顔を引きつらせている。まあ…気持ちは分からなくもない。
「爽くんどうする?」
「うーん…乗る!」