溺愛〜ラビリンス〜

「渉くんは?」


「…俺はいいよ…」


「凌くんは?」


「えっ?」


「さっき乗ってないし乗らない?」


「アハハ…俺は…いいよ。」


折角のユズ姫のお誘いだけど、俺は余り絶叫系は得意ではない…翔真だってどっちかというとそうだと思う…でもユズ姫が乗るから心配で一緒に乗るんだろう…


「そうなの?折角、遊園地に来たんだから一個位は乗ろうよ?」


ユズ姫はみんなにも乗って欲しいらしい。


「分かったよ。じゃ次の乗り物にする。」


俺の返事に満足したユズ姫は満面の笑みを浮かべ頷いた。


「うん!約束だよ?」


そして健人の方を向いて 健人に言った。


「健人くんは乗ってくれるよね?」


「えっ!イヤ…俺も次の乗り物で良い…」


健人は俺の真似をしてユズ姫の誘いを断った。実は俺達の中で絶叫系が一番苦手なのは健人だ。泣く子も黙るチームの特攻隊長も苦手なものはある訳だ…
でもそれを下の奴等には知られたくないんだろう、健人は頬をヒクヒクさせてユズ姫に返事をした。

おい健人…大丈夫なのか?次の乗り物に本当に乗る事になるかもしれないぞ?




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