溺愛〜ラビリンス〜
秋津 凌 side
倉庫で合流して翔真と渉と共に登校し屋上へと向かう。
さっき渉が爽に電話したから健人とすでに動いているだろう。
前を歩く翔真は不機嫌全開で俺も渉も手におえない。
屋上に着くとまだ健人達は王子達を連れて来ておらず誰もいない。
翔真は奥まで進み、いつもの椅子に座ってタバコを取り出し火をつけた。
「翔真冷静に頼むよ。」
俺が言えば
「チッ」
と舌打ちする。
頼むよ…いつも冷静沈着なのにユズ姫の事になると何で何も見えなくなるんだよ。
俺はため息をつき渉を見ると、渉もやれやれと言う感じの顔をしている。これから起こる修羅場に覚悟を決めて俺も椅子に座った。
背後で物音がしてドアが開いた。爽と白王子がにこやかに入って来る。
お前等空気読んでる? 翔真の怒りにこれ以上火に油を注ぐなよ。
こちらに近づいて来る二人。
「お待たせー」
爽が能天気に言う。
「うざい。空気読め。」
渉が低い声で一喝する。