溺愛〜ラビリンス〜
「翔兄ぃは調子悪いみたいだから乗らないよね?爽くんはまた乗る?」
「…今回は止めとく。」
爽が珍しく乗り気じゃない様だ。コイツにも苦手なものがあったのか?
「そうなの?じゃあ、健人くんとあと乗ってないのは凌くんだから凌くんも乗るよね?」
えっ?ユズ姫の断定的な言い方に俺が焦っていると爽がニヤリと笑う。
「ユズユズ、この二人は決まりだな?」
爽の奴、余計な事を言いやがって。
「ユズ姫?俺は…」
言いかけた所で、爽が意地の悪い顔をして俺の言葉を遮る。
「凌、一人だけ逃げんなよな?」
プレッシャーをかけてきた。お前……後で覚えてろよ?俺は爽を睨みつけた。
「凌くん?折角来たんだから、一つ位乗ろうよ?健人くんも乗るんだよ!」
ユズ姫に言われ、どう返せば良いか迷っていると、渉が副総長の声音で命令を出す。
「凌、諦めて乗って来い!柚ちゃんが誘ってくれてるんだからな。」
ととどめを刺されてしまった。
「ハーッ分かったよ…」
乗りゃ良いんだろ?乗ってやるよ!こうなりゃ開き直ってやる!俺はもう破れかぶれになっていた。