溺愛〜ラビリンス〜
「良かった!じゃ乗ろう!」
嬉しそうにそう言って、俺と健人の手を取り目的の場所に向かうユズ姫… 俺達は死刑台に向かう気分だった。
チラッと見ると健人も同じ事を思っているような表情だった。目が合いお互い苦笑いをする。
ユズ姫が乗りたがっている乗り物はさっきの乗り物よりは良いが、それでもかなりの行列ができていた。
最後尾に並び動いている乗り物を見上げる。丁度上昇してこれから落下する所だった。
一気に落下するとキャーと言う悲鳴が響き渡った。マジかよ…本当にあれに乗るのか?顔が引きつっているのが自分でも分かる。
健人を見ればやはり真っ青になっている。これから訪れる恐怖の時間を考えると冷静でいられないのは仕方ない。
ユズ姫が喜んでいるのは嬉しいけど、絶叫系に巻き込むのは勘弁してほしい…と心の中でため息をついた。
「ハーッ…」
一つため息をつき、翔真達の方を見ると、渉がニヤニヤしながらこっちを見ていた。アイツ…俺達を乗せて面白がってるな?本当に性格が歪んだ奴!
プイッと顔を背け視線を逸らすとユズ姫が嬉しそうに俺達に話しかけてくる。
「ワクワクするね!」