溺愛〜ラビリンス〜
「柚…」
まだ乗る気かよ?それにしても…女の子が全然怖がってないのにこんなに取り乱しているコイツ等って一体…俺は健人と凌を見る。
「ブーッ。健人、大丈夫かよ?凌…おーい?戻って来い?」
爽が二人をからかい半分に声をかけている。
「まったく…大丈夫か?しっかりしろよ。二人共!」
渉も頬をヒクヒクさせ笑いをこらえながら声をかける。
「ハーッもう良い。お前等には柚を任せられない。柚、行くぞ?」
ぶっ弛んだ状況に苛々した俺は柚の手を取り歩き出した。
「おい翔真?」
渉が背後から声をかけてくるが気にせず歩いて行く。
「翔兄ぃ、渉くんが呼んでるよ?」
「…良い。気にするな。それより柚、一緒に乗りたいのがある。行くぞ?」
「えっ翔兄ぃ乗りたいものがあったの?」
柚が驚いて聞いてきた。
「あぁ…今日は絶対柚と乗ろうと思ってたのがある。」
俺がそう言うと柚は目を見開き、すぐに嬉しそうに微笑む。
「良かった…遊園地に行きたいって言っちゃったけど、みんな行きたくなかったかなってちょっと心配してたの…でも翔兄ぃは乗りたいものがあったって事は、楽しみにしてたって事だよね?」