溺愛〜ラビリンス〜
「あぁ…柚と出かけるならどこに行くんだって楽しみだ。」
俺の返事が嬉しかったらしい柚は満面の笑みを浮かべた。
「うふふ…ありがとう翔兄ぃ。じゃ、翔兄ぃの乗りたいもの乗ろう!」
柚が走り出して手を引っ張った。二人で手を繋いだまま園内を走り、目的の乗り物の場所に着いた。
「翔兄ぃこれ?」
「あぁ…嫌か?」
「ううん…嫌じゃないよ?」
「そうか…良かった。じゃあ行こう。」
「うん。」
俺が乗りたかったもの…それは観覧車だった。観覧車はジェットコースターのようにたくさんの人が並んでいないからすぐに順番がきた。
ブルーのボディカラーの観覧車に二人で乗り込む。係員がドアを閉めロックをする。相向かいに座れば密室に二人きり…
ガキの頃からずっと一緒にいて二人で留守番をしたり、少し大きくなってから二人で出かけたり、二人きりには馴れているはずなのになぜか落ち着かない気分だ。
正面に座る柚を見ると柚も同じように落ち着かないようだ。
観覧車は少しずつ上がって行く。
「翔兄ぃ何で観覧車なの?」
柚が疑問に思っていたみたいで聞いてくる。