溺愛〜ラビリンス〜
柚がそんな発言をしても、今日キスするのを拒否られなかっただけで最高の思い出だ…それに逆にここで柚がそこら辺の女が言うような事言ったら引くしな…
「そうだな…頂上からの景色を見れないのはもったいないな…でもカップルはそんな事より、相手の事しか目に入らないから関係ないのかもな?」
「そっか…そうだよね。相手の事しか目に入らないのか…」
話しをし続けている間に観覧車は下降してもう少しで到着という所まで下りていた。
「あっという間だったね?」
柚が寂しそうに言う。
「そうだな…」
「お疲れ様でしたぁ。」
明るすぎる係員の声がドアが開くのと同時に聞こえ、二人だけの密室だった空間が途端に破られる。
「柚行くぞ?」
名残惜しいが柚の手を取り立ち上がる。
「うん…」
柚は俺の手を引かれ立ち上がる。観覧車から降りると、渉逹が待ち構えていた。
「お帰り翔真。随分楽しかったみたいだね?」
ニヤニヤと厭らしい笑みを浮かべて声をかけてくる渉…
「ユズ姫、大丈夫だった?翔真に襲われなかった?」
凌が半分心配して半分面白がって聞く。