溺愛〜ラビリンス〜

「ユズユズこっちこっち!」


爽は柚の手を引っ張り靴を脱いで二人でシートに座り込む。まったく…柚を引っ張り回すな!


「爽、お前落ち着け。人が確認しているのにOK出る前に柚ちゃんを座らせるな!馬鹿。」


渉に怒られる爽を健人が笑いながら見ている。まったくいくら注意しても落ち着きのない爽にため息が出る。


「まったく爽は食い意地が張りすぎだろ?」


「何だよ!健人だってユズユズの弁当食べてみたいって言ってたろ?」


「でも俺はお前みたいにガッツいてない。もう少し品良くしろ!」


「何だよ?品て…俺が下品みたいな言い方すんな!」


「下品だろ?」


「どこがだよ!」


「全部?」


「ハァ?ふざけんな!」


「ちょっ、ちょっと…爽くん、健人くん喧嘩しないで。」


柚がオロオロしながら二人を止める。どこまでも進歩のない奴等だ…




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